【災害復興に向けて】大屋根の漏水補修の革新的改修工法

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こんにちは、林技研株式会社の林です。
このたびは、被災された方々ならびに企業・行政の方々に対して心よりお見舞い申し上げます。
大地震などで地盤が大きく揺れると、大きな屋根を持つ構造物は必ず歪みます。その歪は屋根のどこかで応力集中は発生し、多くの場合、しばらくしてから漏水が発生します。
今日は、漏水の原因と基本的補修工法、さらに革新的な補修工法についてお話ししましょう。

漏水の原因

  1. 部材の構造的歪みによる隙間の発生
    屋根全体が歪むことで、金属屋根部材やトップライト部材に応力がかかり、物理的に密着していた板金同士の乖離や、シーリングなどで防水していた部分が界面剥離や部材断裂などを起こし、そこから漏水が発生します。
  2. 勾配変化に伴う雨樋からの漏水
    雨樋などの勾配変化に伴う雨水集中で、オーバーフローを引起こすことによる漏水も一般的な事例として挙げられます。
  3. 排水溝や雨樋の詰まり
    屋根の排水溝や雨どいが詰まっていると、水が溜まりやすくなり、結果として漏水につながることがあります。

基本的補修工法

  • まずは清掃
    まずは、各所の清掃を行います。それで解決するようであれば、雨樋の要所に金属ネットなどで詰まらない、オーバーフローしない工夫をします。
  • 一般的にはシーリング打ち替え工法
    隙間が空いていたり、シーリングの剥離や破断が見られたりした場合は、シーリング打ち替え工法で打ち替えをしましょう。しかし、その際に必要な一般的な検討事項は以下の通りです。

① シーリングの接着寿命は新築時を1.0とすると、打ち替え工法では0.7 程度しか得られないケースがあります。よって、既存シーリングの切取り工程を丁寧に行い、さらに下地処理(ケレン・バフかけ・プライマーの工程時間管理)に特に注意を払う必要があります。

② シーリング接着部材の大きさ(長さ)とその材質の膨張係数から、目地の最大ムーブメントを算出し、そのムーブメントが打ち替えシーリング材質および目地に対して各材料の基準値以下であることを確認する必要があります。

③ シーリング材質に関して、今後何回か打ち替え工法を行う前提で補修計画を立てる場合、打ち替え工事の接着相性を考慮しなくてはいけません。 たとえば、変性シリコンにシリコンは接着しますが、シリコンに変性シリコンは接着しません。また、二液のシーリング材に一液のシーリング材は接着しますが、一液のシーリング材に二液のシーリング材は接着しにくい場合もあります。プライマーの変更もあるかもしれないので、詳しくは材料メーカーに確認する必要があります。

④ それらを検討した結果、一般的なシーリング打ち替え工法では難しいと判断した場合、別の工法を検討する必要が発生します。

  • ちょっと特殊なシーリングオーバーブリッジ工法
    一般的なシーリング打ち替え工法では不可能であると判断した場合、目地内で行う打ち替え工法ではなく、目地外で行うオーバーブリッジ工法を考える必要があります。

しかし、この場合、意匠上の問題点や水勾配の関係で排水がうまくいかなくなるなどの影響が考えられる場合があります。

それでも適応外であると判断した場合、特殊補修工法を検討しなくてはいけません。

特殊な漏水補修工法

  • メンブレン防水系の特殊補修工法
    通常は陸屋根の屋上やバルコニーなどに使用されるメンブレン防水(ウレタン防水など)を、金属屋根などに使用する工法です。ただし、この工法は動きの多い部材やトップライトだけの補修には向いていません。また、耐候性もそれほど高くはないので、数年に一度はトップコートなどを追加で維持工事する必要があります。メリットとしては色が付けられるというところと、仕上がりがキレイということ、一体どこが漏れているのか全然わからない場合に有効です。
  • Ulyseeed-Si工法
    特殊建築シリコンガスケットを成形し使用した工法を言います。加工が楽で早く、耐候性がずば抜けており、さらに形状や納まりを工夫することで、シーリング打ち替え工事では考えられなかった異次元の大きなムーブメントに対応できるというメリットがあります。
    また、色も自由に作ることができるのでシーリング材よりも色相は豊富です。

Ulyseeed-Si工法はいままで補修工法では不可能とされていた状態でも、大きな屋根構造体の強度が十分であれば、やむを得ず架け替え工事となる費用の1割程度で施工できる費用面のメリットと、産業廃棄物を1割以下にすることができる環境面のメリットと、工事期間中も事業を継続しながら工事が可能であるという経営面のメリットなどが見込めます。

それほど、Ulyseeed-Si工法は革新的な工法であるといえます。

まずは調査からになります

  •  林技研は開業して13年間、本工法のパイオニアとして、主に公共施設や教育施設などで緊急補修工事などを通じて、以下の3つの立場で技術的ノウハウを蓄積してきました。

① 第一段階として各現場の問題点を調査・補修工法提案までをコンサルティング会社として

② 第二段階として工事方法や安全計画などを工事管理会社として

③ 第三段階として工事施工会社としてそれぞれで依頼することが可能です。

よって建築主様のみならず、設計事務所さま、ゼネコンさま、施工業者さまの各段階でご相談の対応ができるようになっております。

※ただし、技術面の流出を避けるため、必ず現地調査など有償で依頼していただけるお立場の方からのご相談をお願いしております。何かご不明な点やご相談があれば、いつでも林技研株式会社までお気軽にご連絡ください。
あなたの大切な建物を守るために、私たちは全力でサポートいたします。